【アデニウム、パキポ】実生の塊根植物の腰水をやめるタイミングを完全解説

 こんにちは。本記事では塊根植物の発芽後の腰水をやめるタイミングについて解説させていただきます。
 なお、夏型の塊根植物であれば、基本的には管理方法は同じなので、本記事では主にアデニウムオベスムとグラキリスの実生を例として紹介していきます。

 腰水をやめるタイミングについては多くの記事で様々な考えが発信されていますが、本記事が少しでもみなさまの力になれれば幸いです。
 ではよろしくお願いします。

目次

始めに

 本記事では、発芽後の管理について解説していきます。これから種をまいて、発芽させたいと考えている方は、よろしければこちらの記事をご覧ください。

腰水をやめるタイミング

1:腰水を続けるメリット

 まず、私の個人的な意見ですが、腰水はできる限り続けたほうが良いと考えています。
 腰水のメリットは、成長スピードが速くなるという点と、水切れの心配がないという点です。

成長スピードが速くなる

 腰水をやめると、 植物の表面が木質化してきます。そうなると成長速度はかなり遅くなります。そのため、もし植物を大きく育てたいなら、木質化していない時期にどれだけ大きくできるかということがカギになってきます。

 そして、私は腰水は一度やめてから再び腰水をするということが難しいと考えています。いくつかの株で試したことがあるのですが、すぐに葉っぱの色が悪くなったりしてしまいました。
 そのため、発芽させた時の腰水をできるだけ継続させることにより、株を早く大きく成長させることができます。

 時間経過とともに、こんな感じに表面が木っぽくきて、成長はゆっくりになります。
 早く大きくしたなら、木質化が始まる前にできるだけ成長させる必要があります。

水切れの心配がない

 また、腰水を行っていると、水切れの心配がなくなります。発芽させた時期が4~5月くらいだとすると、成長期である夏に向かうにつれて気温が上がり始め、鉢が乾くスピードも速くなります。

 そして、発芽したての小さい株は、水を蓄える能力が乏しいため、すぐに水不足で枯れてしまいます。
 そのため、腰水を継続することで水切れを原因とした枯れを防ぐことができます。

 当時はこんな感じの容器に鉢の底が浸かるつらいの水を入れて管理していました。

2:腰水を続けるデメリット

 腰水を続けるデメリットは、根腐れの原因になるおそれがあるという点と、よく言われるのが形が悪くなる?という点です。

根腐れの原因になる

 塊根植物は、基本的は高頻度の水やりを苦手とするものが多いです。そして実生1年目の塊根植物は、大きい株や現地球よりは水を欲しがりますが、あまりに多くの回数の水やりを行うと根腐れを起こす場合もあります。

 成長していくにつれて体内に水分を蓄えられるようになるため、水やりが必要になる頻度も減少します。そのため、必要以上に腰水を続け、水を与えることは根腐れに繋がるおそれがあります。

形が悪くなる?

 また、腰水を続ける続けない論争でよくデメリットとして挙げられるのが形が悪くなるということです。
 多くの塊根植物ファンの方は、塊根部がぽってりとした姿を理想としていると思うのですが、腰水を長く続けると徒長したように縦に伸びてしまい、塊根部が太らないとよく言われます。

 しかし、個人的には腰水を続けることと、塊根部が太らないことには大きな関係性はないと考えています。
 私自身同じロットで購入した種を一括で管理したことが何度もあるのですが、全ての株を同じように管理していても、太ったり太らなかったりと、個体差は生じます。

 この写真のアデニウムアラビカムは同じ生産者の方から同じロットで購入し、同じ様に一括で管理していましたが、それぞれが全然違う特徴をもって成長していました。

 私は塊根植物を育てている歴がそれほど長いわけではないので、もしかしたら十数年といった長いスパンで見れば違いが生じるのかもしれません。
 しかし、基本的には塊根部が太るかは、日光遺伝が大きく関係していると思うので、腰水のデメリットとはならないでしょう。

 グラキリスはぷっくりと育てたかったため、早めに腰水をやめましたが、一向に太る気配がありませんでした。
 日光も十分にあたっていたはずなので、太るか太らないかは親株の形が大きく影響しているのかもしれません。

3:腰水をやめる目安

できるだけ腰水を続ける場合

 先に、できるだけ腰水を続けると仮定して説明していきます。
 結論から申し上げますと、株の状態に問題がなければ、秋の終わりまでは続けることができると考えています。

 いくつかの記事では、夏に入ったら腰水はやめるべきとの意見も書かれていました。
 しかし、これは私の実体験なのですが、腰水のまま夏を越すこともできましたし、秋に入っても順調に成長していました。私は夏だと40度を超えるような環境で育てていましたが、問題なく成長してました。

 夏場に腰水を続けてもプクプク成長してくれました(写真はアデニウムオベスムです)。 


 また、夏に腰水を続けると、心配になってくるのは腰水の水温が上がるということですが、特に問題なく成長してくれたため、あまり気にし過ぎなくても良いと思います。
 冬に入ってしまうと、そもそも株の成長自体が止まってしまうため、腰水を続ける意味がありません。
 また、冬に入ると根腐れのリスクが大きく上昇します。
 そのため、株の成長が止まるころには腰水を終えてしまってよいでしょう。

 ただし、株の調子が悪くなった時は別です。
 私が育てている時によくあった症状は、葉っぱの調子が悪くなり、成長が遅くなるということです。
 具体的には葉っぱの色が薄くなったり、変な形の葉っぱが生えてくるなどです。

 このような症状が出た場合にはすぐに腰水をやめていました。株の成長がゆっくりとなる以上、成長に必要な水分量も減少するためです。
 また、無理に成長させるために変な色や形の葉っぱを増やしたところで、特に成長には役立たないと考えているからです。

 そして、このような症状は、当然に株がなんらかのストレスを受けているサインであると考えられます。
 そして腰水はその原因となり得るものなので、すぐに腰水はやめて様子を見ましょう。

 上の写真のグラキリスは、順調に緑の綺麗な葉っぱが出てきていましたが、上部に生えているような色が薄い葉っぱが生え始めたタイミングで腰水をやめました。
 そのため、今は上方向への成長はゆっくりになりました。

 私自身は腰水推奨派ですが、株が弱ってまで続ける意味はないと思っています。腰水をやめたとしても成長が止まるわけではないし、株が枯れるわけでもありません。
 もし、株の調子が少しでも悪いなと感じたら、そのタイミングがベストな腰水のやめ時です。

腰水を早めにやめる場合

 もし少しでも根腐れするリスクを減らしたいと考える人でも、発芽後1か月は腰水を続けた方がいいでしょう。
 1か月経過しない場合に腰水をやめると、個人的には根腐れする確率よりも水切れで枯れるリスクの方が高いと考えています。発芽直後だと2、3日ほど土が乾いている状態が続くだけで枯れてしまう場合もあります。

 上の写真にアデニウムオベスムは発芽からちょうど1か月経った株たちです。
 このくらいの大きさであれば、ある程度は水を貯めこむことができるため、毎日株の状態を観察して水やりができるのであれば腰水をやめてしまっても大丈夫です。
 ただ、左下の株のように成長が遅い株は、まだまだ腰水をやめるのはこわいので、個人的には腰水を続けることをおすすめします。

 また、発芽直後に腰水をやめたとしても、結局発芽直後は常に土が湿っている状態をキープしなければならないので、水やりの頻度は多くなります。となると、結局やっていることは腰水と変わらないので1か月程度は続けてしまってよいと思います。
 その後は、株の状態と相談しつつ、水をあげていけばよいと思います。

 発芽から1~2か月程度経過すれば、水が少なくなった時には塊根がしぼんできます。そのタイミングで水を上げるとよいでしょう。
 また、成長期である夏には、育てている環境にもよりますが、2日に1回のペースで水をあげてしまって大丈夫です。実生1年目であれば水を欲しがるので、たっぷりあげてしっかり成長させましょう。

 秋になるころには徐々に水やりの頻度を減らしていき、冬になれば断水気味で育てていきましょう。

まとめ

 腰水は株が水切れを起こすおそれがあることを考慮して最低でも発芽から1か月は継続するべきです。
 その後の管理は、早く大きく育てたい方は株の状態を見ながらできる限り腰水を継続し、成長が止まる冬にはやめましょう。
 根腐れのリスクを少しでも減らしたい方は、1か月継続した時点で腰水をやめ、塊根部がしぼんできたらしっかり水をあげましょう。

 どのタイミングでやめたとしてもメリットデメリットがあるため、自分の育て方や好みに合った時期に腰水を終えましょう。

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